ニュース概要(何が起きたか)
自民党の税制調査会では、2026年度に向けた税制見直し議論が本格化しています。特に注目されているのが「住宅ローン減税」の拡充で、現行では対象外となる50平方メートル未満の住宅を、40平方メートル以上にまで緩和する案が浮上。また、中古住宅の減税適用期間を原則10年から延ばす方向で調整が進んでいます。
背景には住宅価格の急上昇と、都市部で増加する小規模住宅のニーズがあります。中古住宅の流通比率は2014年の33.9%から2024年には43.6%へと大幅に増加し、生活者の選択肢として存在感を高めています。
【要点】
- 住宅ローン減税の対象を40平米以上へ緩和案
- 中古住宅の減税適用期間延長が検討
- 住宅価格高騰で単身者・共働き層の負担が増大
- “高市カラー”とされる積極的な減税策が議論の中心に
発生した背景・社会的要因
背景には、都市部の住宅価格の高騰と、単身者・共働き世帯の生活様式の変化があります。新築マンションは価格上昇が続き、都心部での購入はますます難しくなっています。その結果、築古物件をリノベーションして住む「中古×リノベ」需要が急増し、住宅政策もその流れに対応せざるを得なくなっています。
同時に、税制調査会の議論に影響を与えているのが、政府内で強い発言力を持つとされる担当閣僚の存在です。積極的な減税政策を打ち出す姿勢から“高市カラー”と呼ばれ、住宅や子育て支援、所得政策にまで波及していると指摘されます。
影響を受けた生活者・地域の声
都市部では「二人で1LDKに住むケースが増えている」と不動産関係者の声もあり、住まいの選択肢が狭まっている実感が強まっています。物件価格の上昇に伴い、住宅ローン負担は年々増加。特に若年層や子育て世帯にとっては「そもそも適用対象に届かない」という不満も根強い状況です。
地方でも事情は似ており、利便性の高い地域に人が集中する一方、老朽化した住宅が増えるなど、居住環境の格差が拡大しているとの声が上がっています。
金額・人数・生活負担への影響
面積要件が40平米以上に緩和されれば、単身者や共働きカップルを中心に年間数十万人が新たに減税の恩恵を受ける可能性があります。一方で、政府は財源確保のため、ほかの税制や社会保障費との調整が必要になる見込みです。
住宅ローン減税は長期にわたり家計に影響する制度であり、適用範囲が広がれば家計の負担軽減が期待される一方、財政負担の増加も避けられません。
行政・自治体・関係機関の対応
自治体からは「中古市場活性化に寄与する」と歓迎の声が出る一方、地方の住宅供給事情に対応しきれるのか課題視する意見もあります。国土交通省は、住宅市場の実態調査を進めつつ、全国的なストック活用を促す方針を強調しています。
一方、税制調査会では連日議論が続き、減税策の範囲や対象をどこまで広げるか、与党内でも意見が割れています。
専門家の分析(物価・制度・環境・労働など)
専門家は、住宅ローン減税の拡充は短期的には消費刺激になると分析します。しかし、物価高が続く現状では、減税効果が生活者の実感に結びつきにくい可能性も指摘されています。また、中古住宅の質や耐震性、リノベーション費用の高騰が新たな負担になるとの懸念もあります。
制度負担の観点からは、「減税を広げるだけではなく、住宅供給の質の確保や子育て世帯への実効的な支援とセットで考えるべき」という提言も見られます。
SNS・世間の反応(生活者の実感ベース)
SNSでは「40平米以下はあり得ない」という否定的な声から、「ようやく時代に合った制度変更」と歓迎する声まで、さまざまな反応が見られます。住宅価格の高騰から、「減税より価格抑制を優先してほしい」という意見も根強く、生活者の本音が垣間見えます。
今後の見通し・生活への広がり
議論の内容が正式決定すれば、2026年度以降の住宅取得計画に影響を与えることは確実です。小規模住宅や中古物件の需要がさらに高まる一方、価格上昇に拍車がかかる可能性もあります。制度変更は生活者にとってメリットとリスクが混在しており、慎重に判断する必要があります。
FAQ(読者が抱く疑問)
Q1. 40平米未満の住宅は今後も対象外のまま?
現時点では40平米以上を対象に拡大する方向で検討されています。さらなる緩和は慎重姿勢が強い状況です。
Q2. 中古住宅の減税期間はどれくらい延びる?
具体的な年数は未定ですが、現行10年より延長する方向で調整が進んでいます。
Q3. 減税拡充で住宅価格は下がるの?
むしろ需要増で価格上昇につながる可能性が指摘されています。
Q4. 若い世代はどんな影響を受ける?
選べる物件が増える一方、資金計画は慎重さが求められます。


