ニセ警官詐欺が被害拡大 ! 「+」から始まる電話の巧妙な手口とは?

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あなたも、スマホに突然かかってくる「+」から始まる国際電話や、ニセ警官を名乗る不審な電話に、薄ら寒さを覚えたことはありませんか?

実は今、この「ニセ警官詐欺」は、日本中で被害を量産し、かつての「3億円事件」を超える被害総額に達しつつあります。背後で糸を引いているのは、日本人の心理を研究し尽くした国際犯罪グループ「トクリュウ」です。

この記事では、「+」から始まる国際電話がなぜ使われるのか、そしてニセ警官詐欺の構造を、以下の4つのポイントで解説します。

point
  • ニセ警官詐欺の基本シナリオと「トクリュウ」の正体
  • 「+44」など国際電話番号をあえて使う驚くほど合理的な理由
  • 日本人が狙われる背景にある「肩書に弱い」気質と心理構造
  • 洗脳マニュアルと国際犯罪ネットワークから身を守る具体策

ニセ警官詐欺の概況と被害の広がり

ニセ警官詐欺は、いまや特殊詐欺の中心的手口になりつつあります。
警察庁の最新データでは、今年9月末までの特殊詐欺全体の被害額は約965億3000万円。そのうちニセ警官詐欺だけで約661億2000万円と、全体の7割近くを占める異常な状況です。

典型的なケースとして紹介されているのが、仙台市在住の70代女性が被害に遭った事件です。
自宅にかかってきた「NTTを名乗る自動音声電話」がきっかけで、

  • 金塊約18.6kg(時価約3億4800万円)
  • 現金約1040万円

合計約3億6000万円もの財産を失いました。
「あなた名義の携帯電話が犯罪に使われている」「全財産を警察と金融庁で預かる」といった常套句により、不安をあおられ、指示されるままに金塊や現金を差し出してしまったのです。

「トクリュウ」が仕掛ける劇場型シナリオ

ニセ警官詐欺の背後にいるのが「トクリュウ」──匿名・流動型の国際犯罪グループです。
彼らは、日本人の生活習慣や気質を徹底的に研究し、複数の役柄を使い分ける「劇場型」のシナリオを構築しています。

よくある流れは、次のようなものです。

  • NTTや通信会社を名乗る自動音声が「2時間後に電話が止まる」「1番を押してください」と案内
  • 不安になって「1」を押すと、カスタマーセンター職員役が登場し「不正契約」「犯罪の可能性」を告げる
  • 「事件が起きた福岡県警本部につなぐ」などと言って、ニセ警官へ転送
  • 「はい、こちら福岡県警本部。事件ですか事故ですか?」という“警官然”とした口調で一気にペースを握る

通信会社と警察が役割分担しながら登場することで、被害者の警戒心は徐々に薄れ、いつの間にか指示に従う「物語の登場人物」にさせられてしまいます。

なぜ「+」から始まる国際電話を使うのか

最大の疑問は、「なぜ日本の警察を名乗るのに+44など国際電話から発信するのか」という点です。
常識的に考えれば、日本国内の警察が海外番号から電話してくることはありません。

ところが、トクリュウ側から見ると、この不自然さこそが“ふるい”として機能します。

  • 「+から始まる番号は怪しい」と気づいて切る人 → 最初からターゲット外
  • 違和感を覚えず会話を続ける人 → 最後まで騙される可能性が高い“濃い見込み客”

つまり、あえて怪しく見える国際電話を使うことで、「騙しやすい人」を自動的に選別しているのです。
最終的にはATMに行かせ、金塊や多額の現金を動かさせる必要があるため、彼らは「少数でも濃いカモ」を効率よく選びたい。そのためのフィルターが、「+」から始まる国際電話なのです。

日本人が狙われる「肩書きに弱い」心理

トクリュウが日本を狙う最大の理由は、日本人の「肩書きに弱い」心理にあります。
ノンフィクションライター・藤原良氏によると、外国人犯罪グループは口をそろえて「日本人は制服や公的肩書に弱い」と話すと言います。

日本では、

  • 警察官
  • 役所の職員
  • 水道局や電力会社の担当者

といった存在は、「基本的に信頼できる人」として認識されています。
一方、中国などでは、警察が国民の味方とは限らず、「理不尽な取り締まり」「財産没収」のイメージも強いと言われます。
つまり、彼らの母国では“警官を騙る”手口は逆に警戒されやすく、日本ほど有効ではなかったのです。

しかし、日本では「警察官」と名乗るだけで信用されやすく、そこに目を付けたトクリュウが“ニセ警官詐欺”を本格展開し始めた──これが現在の構図です。

「巻く」ための洗脳マニュアルと国際ネットワーク

ニセ警官詐欺は、単なる話術ではなく「洗脳マニュアル」に基づいて進行します。
マニュアルの狙いはただひとつ、被害者の思考を停止させ、自己判断を放棄させることです。

その代表例が、「はい」としか答えられない質問を連発するテクニックです。

  • 「あなたの口座が犯罪に使われています。このままだとあなたも容疑者になります」
  • 「容疑を晴らすには、口座を調査する必要があります。よろしいですね?」

驚いた被害者は「どうすればいいんですか?」と尋ねるしかなく、
「よろしいですね?」「ご理解いただけましたか?」と畳みかけられるたびに「はい」と答え続けるうち、自己暗示のような状態(彼らの言う『巻かれた』状態)に陥ります。

さらに、その背後には、

  • カンボジア
  • 韓国や中国の朝鮮族自治州
  • タイ、マレーシアなどアジア各地

に広がる国際犯罪ネットワークがあります。
人身売買・薬物密輸・売春組織などを手がけてきた長い歴史を背景に、既存の拠点やルートをそのまま「詐欺ビジネス」に転用しているのです。

被害に遭わないための具体的な対策

では、私たちはどう身を守ればいいのでしょうか。 重要なのは、次の3点です。

  • 「+」から始まる国際電話は一旦疑う
    国内の警察・役所・銀行が、海外番号から緊急連絡をしてくることは基本的にありません。
  • 「犯罪」「口座停止」「容疑者」という言葉には一拍おく
    強い不安をあおる言葉が出たら、まず家族や警察相談窓口に確認を。
  • 電話でお金や資産の話が出たら、即座に切る
    金塊や預金の「一時預かり」「調査のための振込」は、すべて詐欺だと考えて問題ありません。

特に高齢の家族がいる場合は、「ニセ警官詐欺」「+から始まる国際電話」の特徴を事前に共有しておくことが、最大の防御策になります。

FAQ

Q1:警察から本当に電話が来ることはある?
A1:事件や事故の関係者などに連絡が来ることはありますが、国際電話で資産の提供を求めることはありません。

Q2:「+44」など海外番号からの電話は全部詐欺?
A2:必ずしも詐欺とは限りませんが、ニセ警官詐欺では海外番号が多用されているため、基本的に警戒すべきです。

Q3:不審な電話が来たらどうする?
A3:その場では答えず、一旦切ってから警察相談専用電話「#9110」など公的窓口に確認してください。

Q4:家族が騙されているかもしれないと感じたら?
A4:すぐに連絡を取り、「お金を動かす前に必ず家族に相談する」というルールを共有することが重要です。

Q5:すでに口座番号などを教えてしまった場合は?
A5:速やかに金融機関と警察に連絡し、口座の利用停止や被害拡大防止の手続きをとりましょう。

まとめと今後の展望

ニセ警官詐欺は、単なるお金のトラブルではなく「社会の信頼構造」を揺るがす犯罪です。
かつて日本中を震撼させた「3億円事件」でさえ、いまや日常的な被害額に埋もれつつあります。

今後も、

  • AI音声やディープフェイクを使った「よりリアルな偽警官」
  • メッセンジャーアプリやSNSと連動した新たな劇場型シナリオ

など、手口は確実に高度化していくと考えられます。
一方で、私たち一人ひとりが「電話でお金の話が出たら要注意」「+番号はまず疑う」という共通認識を持てば、被害は確実に減らせます。

情感的締めくくり

「ニセ警官詐欺」は、私たちが長年積み上げてきた「公的機関への信頼」を、逆手に取る犯罪です。

だからこそ、恐怖で黙り込むのではなく、知識と対策で自分と家族を守る姿勢が欠かせません。

今日、あなたが「+から始まる電話」と「ニセ警官詐欺」の仕組みを知ったこと自体が、被害を防ぐ大きな一歩です。

この情報を、ぜひ家族や身近な人とも共有し、「騙されない社会」を少しずつ広げていきましょう。

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※当ブログは英会話教室「NOVA」とは一切関係ありません。ブログ名、ドメインに含む「nova」は偶然の一致です。

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