火災原因調査の第一人者とされた現職警部が、調査現場で現金を盗んでいたという衝撃の事件が明らかになりました。
匿名の通報を契機に発覚した今回の不祥事は、警察組織に対する国民の信頼を大きく揺るがせています。
本記事では、事件の詳細、警察内部の対応、社会への影響について深掘りします。
捜査の顔が窃盗の被疑者に

発覚の経緯と事件概要
警視庁捜査一課火災班に所属し、火災調査の「技能指導官」として高い評価を受けていた政野亮二容疑者(51)が、火災現場で現金を盗んだ疑いで逮捕されました。
事件の発端は、政野容疑者に関する匿名の通報でした。
火災調査の最中に不審な動きがあるという情報を受け、警視庁内で極秘裏に調査が進められ、最終的に複数の火災現場における不正行為が確認されました。
政野容疑者が最初に問題視されたのは、2022年10月に発生した渋谷区のアパート火災です。
この火災で住人が死亡した直後、現場から現金約300万円が消失。
現場には他に出入りする捜査員もおらず、政野容疑者の行動が注視されるきっかけとなりました。
その後、2025年1月の別の火災現場でも現金1,000円の盗難が確認され、捜査班は本格的な調査を実施。
過去3年間にわたり少なくとも10件の火災現場から現金を盗み、被害総額は900万円を超えるとみられています。
組織の中枢にいた容疑者の背景

火災捜査の第一人者だった経歴
政野容疑者は、警視庁内でも火災捜査のスペシャリストとされ、火災原因調査の現場指導にあたる技能指導官に任命されていました。
実績も豊富で、多くの火災事件において原因究明に貢献。新人警察官への研修も担当していたことから、警視庁内部では「信頼の象徴」ともいえる存在だったといいます。
こうした立場にありながらの犯行は、内部の監督体制や倫理観の根本的な見直しを迫るものとなりました。
犯行の手口とその特徴

火災現場という特殊な環境を悪用
政野容疑者は、火災現場の混乱と制限された出入り口を利用し、財布や現金入り封筒などを物色。
被害者が死亡していたため、金品の所在確認は遺族が訪れるまで時間がかかり、発覚を遅らせることができたとみられています。
また、遺体の確認作業中や、捜査本部設置前のわずかな時間を狙うなど、極めて計画的だった点も特徴です。
これまでの調査で、現場ごとに盗まれた金額にばらつきがありましたが、政野容疑者は「財布の有無で判断した」と供述。
金額ではなく、現金を目にした際に衝動的に手を出した可能性も示唆されています。
犯行動機と供述の内容

「将来が不安」という言い訳
取り調べに対し政野容疑者は、「お金がいくらあっても将来を考えると不安になった」と供述し、容疑を認めています。
給与や退職金の待遇には不満がなかったとされる中で、この言葉は「現代的な不安」の象徴として受け止められています。
心理学者によれば、この種の発言は罪の軽減を狙った防御的反応とも取れるとのことで、「誠実さを欠く供述」と評価されています。
政野容疑者の供述は、今後の裁判においても焦点となるでしょう。
警視庁の対応と組織的課題
「信頼を裏切る行為」との非難
警視庁は事件発覚後、速やかに政野容疑者の身柄を拘束し、内部調査班を編成しました。
報道機関への発表では、「極めて許しがたい行為。都民や国民の信頼を著しく裏切るもので、誠に遺憾。事実関係を明らかにし、厳正に対処する」と述べています。
また、火災現場における警察官の立ち入りや金品管理のプロトコル見直しを含めた再発防止策の検討も始まりました。
特に「一人で現場に入らせない」「現金確認は複数人で対応する」といった制度が導入される可能性が高いとされています。
信頼回復への長い道のり

国民との信頼関係の再構築
警察官による犯罪は、一般市民の心理に深い影響を与えます。
特に政野容疑者のように、信頼を寄せられるポジションにいた人物が犯罪に及んだことは、警察への根本的な不信につながるおそれがあります。
有識者は「組織的な倫理教育の強化と、日常的なストレスの管理が不可欠」と指摘。
信頼回復には時間がかかるものの、透明性のある情報公開と誠実な対応が不可欠です。
メディア報道の傾向
各社の報道では以下のような傾向が見られます。
NHK
火災捜査の現場で起きた不祥事という角度から、警察官の職責とその裏切り行為を重点的に伝えています。
Yahoo!ニュース(TBSやBiglobe連携)
過去の火災現場との関連性や、政野容疑者の供述を中心に、事件の反復性に焦点を当てています。
YouTube報道
火災現場映像とともに「なぜ止められなかったか」に焦点を当て、視聴者コメントを交えた議論が展開されています。
- 現職警部が火災現場で窃盗
- 300万円の盗難がきっかけで発覚
- 合計900万円超の被害が推定
- 警視庁は厳正な対応方針
「現場に預ける信頼」の崩壊
X(旧Twitter)などのSNSでは、「こんな人に現場を任せていたのか」という怒りの声が広がっています。
「火災で家族を失った直後に、金まで奪われていたら…」といった投稿も見られ、被害者遺族に寄り添う意見が多数を占めています。
ある消防関係者は、「自分たちは命懸けで消火や救助に当たっている。信じられない」とコメント。
こうした現場の反応もまた、警察にとって重い現実です。

まさか警察が…



信頼して任せていた。何を信じていいか分からない
まとめ
- 現職の火災捜査警部が、火災現場で現金を窃盗しました。
- 被害額は過去3年で、900万円以上にのぼります。
- 犯行は計画的で、現場の混乱を利用していました。
- 犯行動機は、「将来への不安」と供述されています。
- 警視庁は、再発防止策と処分を徹底する方針です。
- 市民からは、信頼崩壊の声が相次いでいます。