- 北九州市小倉北区の「工藤会」旧本部事務所跡地に複合型福祉施設「希望のまち」を建設中
- 運営はNPO法人「抱樸」、理事長は奥田知志さん(63)
- 8月20日、東京・池袋の「自由学園明日館」で講演会を開催、約200人が参加
- 施設は10月31日にプレオープン予定
- 交流スペース、レストラン、相談窓口、学習支援の場、救護施設などを備える
「希望のまち」とはどんな施設か
抱樸が建設を進める「希望のまち」は、北九州市小倉北区にある特定危険指定暴力団「工藤会」の旧本部事務所跡地に建てられる複合型福祉施設だ。誰もが利用できる交流スペースやレストランのほか、困りごとの相談窓口、子どもの学習の場、生活困窮者向けの救護施設などが設けられる。
プレオープンは10月31日を予定している。抱樸はこれまで約4000人のホームレスらの自立支援に携わってきた実績を持つ団体で、その経験を土台に新しい地域拠点づくりを進めている。
奥田さんは20日、東京・池袋の国重要文化財「自由学園明日館」講堂で、「東京第一友の会」と共催した講演会「『希望のまち』のつくりかた」に登壇した。約200人が参加し、奥田さんは施設に込めた思いを語った。
奥田さんは「人を苦しめるのは経済的な困窮だけじゃない。人は人とのつながりがないと生きていけない」と強調し、自分の現状や変化に気づいてくれる人がそばにいることの大切さを訴えた。施設を通じて、「助けて」と言える地域づくりや、家族ではない人同士が家族の役割を担う「家族機能の社会化」を目指すという。
なぜ「工藤会」跡地が選ばれたのか
「希望のまち」が建てられる場所は、かつて特定危険指定暴力団「工藤会」の本部事務所があった土地だ。暴力団の拠点であった場所が、生活困窮者を支える福祉施設へと生まれ変わる点は、地域の再生を象徴する取り組みとして注目されている。
抱樸の歩みと現在の活動
| 年 | 出来事 | ポイント |
|---|---|---|
| 1988年 | 活動開始 | ホームレスへのおにぎり配布から出発 |
| 現在 | 支援対象の拡大 | 子ども・高齢者・障害者らへ支援を拡大 |
| 2026年10月 | 「希望のまち」プレオープン予定 | 工藤会旧本部跡地に複合福祉施設 |
抱樸は1988年、ホームレスの人々におにぎりを配る活動から始まった団体だ。現在は子どもや高齢者、障害者らへも支援の対象を広げ、多岐にわたる活動を行っている。これまでに約4000人のホームレスらの自立支援に携わってきた。
東京・銀座の書店「教文館」内ギャラリーでは、抱樸の37年に及ぶ歩みを振り返る展覧会「抱樸ミュージアム」が23日まで開催されている。会場では活動の歴史を「創成期」「発展期」など四つに分けた年表で紹介し、元路上生活者たちの写真や、抱樸が関わった人たちが描いた絵なども展示されている。訪れた都内の会社員女性(37)は、その時々の社会課題に向き合い続けてきた活動の継続性に感心したと話した。
地域社会への影響と今後
「希望のまち」は、単なる福祉施設にとどまらず、誰もが「助けて」と言える地域や、血縁によらない人同士のつながりを生み出す拠点として位置づけられている。生活困窮者だけでなく、地域住民全体が関わり合える場を目指す点が特徴だ。
プレオープンは10月31日を予定しており、今後、施設の具体的な運営内容や地域との関わり方がさらに明らかになっていくとみられる。
北九州市の「工藤会」旧本部事務所跡地に、抱樸が運営する複合型福祉施設「希望のまち」が10月31日にプレオープンする。奥田理事長は講演で、経済的な困窮だけでなく人とのつながりの大切さを訴え、「助けて」と言える地域づくりを目指すと語った。あわせて東京・銀座では抱樸の37年の歩みを振り返る展覧会も23日まで開かれている。
かつて暴力団の拠点があった場所に、人と人とがつながり合う福祉施設が生まれようとしている。
それは、地域が抱えてきた課題と静かに向き合い直す試みでもある。
経済的な支援だけでは満たされない孤立感は、誰の暮らしのそばにもある。
「助けて」と言える場所があること、そして誰かがその変化に気づいてくれること。そんな小さな安心の積み重ねが、地域の姿を少しずつ変えていくのかもしれない。

