非正規雇用の格差が結婚に影響、氷河期世代の実態と今後の課題

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非正規雇用労働者が全体の37%に達し、正規雇用との賃金格差が社会問題化しています。特に就職氷河期世代では、安定した収入が得られず結婚を諦める人が増加。男性の非正規労働者の結婚率はわずか20%にとどまり、年収300万円未満では4割も結婚できていない現実があります。なぜ日本では正規・非正規の格差がこれほど大きいのでしょうか。あなたも雇用の不安定さに悩んだことはありませんか?

📌 この記事の要点

  • 非正規雇用労働者は全労働者の37%(2126万人)を占める
  • 正規雇用と比べ賃金は7割未満、待遇格差は歴然
  • 30代前半男性の結婚率:正規56%、非正規20%
  • 年収500万円以上は7割超が結婚、300万円未満は4割未満
  • 女性の賃金は男性より2割低く、OECD37か国中ワースト3位
目次

非正規雇用問題の概要

東京都北区に住む45歳の男性は、派遣社員としてコールセンターで働きながら、月収25万円を得ています。しかし生活費が足りず、土日には単発のスポットワークを掛け持ちする日々を送っています。

この男性は就職氷河期に高校を卒業後、フリーターとして20以上の職を転々としてきました。仕事の身軽さは気に入っているものの、日々の生活に精いっぱいで「子どもはもちろん、結婚を考える余裕もないし、もう願望もない」と語っています。

総務省の2024年調査によると、国内で雇用されている労働者5780万人のうち、契約社員やパートなどの非正規雇用労働者は37%にあたる2126万人に上ります。正規雇用労働者と比較すると賃金は7割未満という統計もあり、待遇の格差は極めて深刻な状況です。

格差が生まれた背景と原因

日本における正規・非正規の格差拡大には、雇用制度の構造的な問題が深く関わっています。立教大学の首藤若菜教授(労働経済学)によると、終身雇用や年功制を前提とする日本の雇用システムでは、正規労働者は勤続年数とともに賃金が上昇する一方、非正規労働者の賃金はほぼ横ばいのまま推移します。

対照的に欧州では、職務内容に応じて賃金が決まる仕組みが一般的です。産業ごとに労働協約で最低賃金が定められるため、同じ職務には同一の賃金水準が保障され、職業間の格差も開きにくくなっています。

日本では1990年代後半から2000年代にかけての就職氷河期に、企業が正社員の採用を極端に絞り込みました。その結果、この世代の多くが非正規雇用として労働市場に参入せざるを得なくなり、現在も不安定な雇用状況に置かれている人が少なくありません。

雇用形態が結婚に与える影響

最新版のこども白書によると、雇用形態による結婚率の差は顕著です。30歳代前半の男性では、正規労働者の56%が結婚しているのに対し、非正規労働者は20%にとどまっています。

さらに内閣府のデータでは、年収による格差も明確に示されています。年収500万円以上の男性は30歳代前半で7割超が結婚している一方、年収300万円未満では4割にも届きません。経済的な安定性が結婚の大きな条件となっている実態が浮き彫りになっています。

女性の経済状況も厳しい状況です。経済協力開発機構(OECD)の統計では、40年前に6割未満だった25〜54歳の女性就業率は現在8割を超えています。しかし、パートを中心とした非正規労働者が多い日本の女性の賃金水準は男性より2割も低く、男女格差の大きさは2022〜23年にOECDが調査した37か国中でワースト3位という不名誉な結果となっています。

当事者の声と生活実態

冒頭で紹介した45歳男性のケースは、就職氷河期世代が直面する現実を象徴しています。派遣社員としての月収25万円では生活が成り立たず、土日もスポットワークで収入を補填する日々。結婚や子どもを持つことは「願望もない」と語る背景には、経済的余裕のなさだけでなく、将来への希望を持てない心理的な閉塞感もうかがえます。

20以上の職を転々とした経験からは、非正規労働の不安定さが見えてきます。契約期間が限定されているため、常に次の仕事を探し続けなければならず、長期的なキャリア形成が困難な状況に置かれています。

政府・行政の対応状況

厚生労働省は、非正規労働者問題の解消に向けて複数の施策を展開しています。まず、非正規労働者を正規雇用した企業に対して補助金を支給する制度を設けています。この制度により、企業側の正社員採用のハードルを下げることを目指しています。

また、非正規労働者向けのリスキリング(学び直し)の機会を拡充し、職業能力の向上を支援しています。デジタルスキルや専門的な技能を習得することで、正規雇用への転換を促進する狙いがあります。

しかし、総務省の2024年調査によると、非正規労働者の1割近くが正規雇用を希望しているにもかかわらず実現できていない状況が続いています。政府の施策だけでは、構造的な問題の解決には至っていないのが現実です。

専門家の見解と分析

専門家は、若い世代が安心して結婚や出産をするために、不安定な非正規労働者の収入を上げ、正規との待遇格差を是正する必要があると指摘しています。

「正規・非正規の2層構造の解消に向け、政府は職務に応じた賃金が支払われるための公正な評価制度や、働き手が能力を発揮できる仕組みを整えるべきだ」と訴えています。

欧州型の職務給制度の導入が一つの解決策として考えられます。同一労働同一賃金の原則を徹底し、雇用形態にかかわらず職務内容に応じた適正な賃金を保障する仕組みが求められています。また、産業別の労働協約による最低賃金の設定も、格差是正の有効な手段として注目されています。

社会の反応と世論動向

SNSでは非正規雇用の問題について多くの声が上がっています。「正社員になりたくてもなれない」「同じ仕事をしているのに給料が全然違う」といった当事者からの切実な訴えが目立ちます。

また、就職氷河期世代への支援を求める声も強まっています。「氷河期世代を見捨てないでほしい」「もう45歳だけど正社員になるチャンスがほしい」といった投稿には、多くの共感が寄せられています。

一方で、企業側の事情を理解する声もあります。「終身雇用を維持するのは企業にとって負担が大きい」「柔軟な働き方を求める人もいる」といった意見も見られ、問題の複雑さを物語っています。

今後の見通しと影響

少子化が進む中、非正規雇用問題は日本社会の持続可能性に直結する重要課題となっています。経済的に不安定な若年層が結婚や出産を諦めれば、少子化はさらに加速する悪循環に陥ります。

政府は「骨太の方針」で非正規雇用の処遇改善を掲げていますが、企業の意識改革や制度設計の抜本的な見直しには時間がかかると予想されます。特に中小企業では、正社員化に伴うコスト増を懸念する声が根強く、施策の実効性が課題となっています。

一方で、人手不足が深刻化する中、優秀な人材を確保するために待遇改善に乗り出す企業も増えています。非正規から正社員への登用制度を整備したり、同一労働同一賃金を先行して導入したりする動きは、今後広がる可能性があります。

また、デジタル化の進展により、リモートワークや副業が一般化すれば、働き方の多様性が広がり、雇用形態による格差が相対的に縮小する可能性も指摘されています。

❓ よくある質問(FAQ)

Q1. 非正規雇用と正規雇用の賃金差はどのくらいですか?

統計によると、非正規雇用の賃金は正規雇用の7割未満とされています。月収に換算すると数万円から十万円以上の差が生じることもあり、生涯賃金では大きな開きとなります。

Q2. なぜ日本では正規・非正規の格差が大きいのですか?

日本では終身雇用と年功序列を前提とした制度のため、正社員は勤続年数で賃金が上がりますが、非正規はほぼ横ばいです。欧州のような職務給制度がないことが大きな要因とされています。

Q3. 非正規から正社員になるための支援制度はありますか?

厚生労働省は、非正規を正社員化した企業への補助金制度や、非正規向けのリスキリング(学び直し)支援を実施しています。ハローワークでも就職支援プログラムが用意されています。

Q4. 結婚率に雇用形態がどれだけ影響していますか?

30代前半男性の結婚率は、正社員が56%なのに対し非正規は20%です。また年収500万円以上では7割超が結婚している一方、300万円未満では4割未満にとどまり、経済状況が大きく影響しています。

📝 まとめ

非正規雇用労働者は全体の37%(2126万人)に達し、正規雇用との賃金格差は7割未満という深刻な状況です。特に就職氷河期世代では、不安定な雇用が結婚や出産を困難にしており、30代前半男性の非正規労働者の結婚率はわずか20%にとどまっています。

この問題の背景には、日本特有の終身雇用・年功序列制度があり、欧州のような職務給制度が確立されていないことが指摘されています。政府は補助金やリスキリング支援などの施策を講じていますが、構造的な問題の解決には至っていません。

専門家は、正規・非正規の2層構造を解消するため、職務に応じた公正な賃金制度の確立を訴えています。少子化対策の観点からも、若い世代が安心して結婚・出産できる環境整備が急務となっており、雇用制度の抜本的な改革が求められています。

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