- 1月の全国民営家賃が前年比0.7%増。1998年以来28年ぶりの高水準
- 東京都区部では2.1%増と、さらに急激な上昇を記録
- インフレによる資材費・人件費の高騰が家賃に転嫁され始めている
- 日銀の金融政策(利上げ)にも影響を与える重要指標に
1. 概要(何が起きたか)
総務省が2026年2月20日に発表した1月の全国消費者物価指数(CPI)によると、民営家賃は前年同月比で0.7%上昇しました。これは、消費税率引き上げの影響を除けば1998年3月以来、約28年ぶりの高い伸び率です。これまで家賃は他の品目に比べて価格変動が極めて小さく、物価を安定させる要因となってきましたが、その傾向が明確に変化しています。
2. 発生の背景・原因
この家賃上昇の背景には、複合的な要因があります。第一に、建設資材の高騰や人手不足による建築コストの増大です。これにより新築物件の価格が跳ね上がり、連動して中古物件や賃貸物件の相場も押し上げられています。第二に、長引くインフレへの対応です。物件の維持管理費や修繕積立金が増加したことで、オーナー側が家賃の引き上げに踏み切るケースが増えています。
3. 関係者の動向・コメント
日本銀行の政策委員の間でも、この家賃動向への注視が強まっています。1月の会合では、都市部を中心とした家賃上昇が「家計の生活実感と消費行動に与える影響が大きい」との指摘がありました。また、エコノミストの宮前耕也氏は、家賃の上昇が物価の基調を押し上げており、日銀が掲げる「2%の物価安定目標」の達成に向けた重要な鍵になると分析しています。
4. 被害状況や金額・人数
影響は特に東京都区部で顕著です。1月の東京都区部CPIでは、民営家賃が前年比2.1%上昇という、30年以上前のバブル崩壊直後に近い伸びを記録しました。例えば、家賃10万円の物件であれば月2,000円以上の増額となります。全国ベースでも上昇が始まっており、賃貸生活を送る数千万世帯の可処分所得を圧迫し始めています。
5. 行政・警察・企業の対応
不動産各社は、これまで据え置いてきた既存入居者の賃料についても、更新時期に合わせた値上げ交渉を強める動きを見せています。また、日銀は昨年12月に利上げを行いましたが、家賃という大きなウエートを占める項目が上昇し続けることで、さらなる政策正常化(追加利上げ)への判断材料とする構えです。行政側も、住居費負担の増大が消費を冷え込ませないか警戒を強めています。
6. 専門家の見解や分析
住宅経済の専門家は、「家賃の遅行性」に注意を促しています。家賃は一度決まると数年は変わらないため、物価高の影響が統計に現れるまで時間がかかります。現在の0.7%という数字は、あくまで「契約が更新された一部」の結果であり、今後数年かけて全国の契約が更新されていく中で、上昇率はさらに高まっていく可能性が高いと分析されています。
7. SNS・世間の反応
ネット上では、「給料が上がらないのに家賃だけ上がるのはきつい」「更新時に突然1万円値上げを打診された」といった悲鳴に近い投稿が相次いでいます。また、「今は賃貸よりも、金利が上がる前に住宅を買ったほうがいいのか」「地方への移住を真剣に考える時期かもしれない」といった、住まいのあり方そのものを再考する声も多く見られます。
8. 今後の見通し・影響
家賃の上昇は、一度始まると下方硬直性が強く、なかなか下がりません。2026年を通じて、東京から地方主要都市へと値上げの波が波及していくことは確実視されています。これは家計にとって恒久的な負担増を意味し、食費やレジャー費の抑制につながる恐れがあります。一方で、不動産投資市場にとっては利回りの改善というポジティブな側面もあり、市場の二極化が進むでしょう。
9. FAQ
Q:なぜ今、全国的に家賃が上がっているのですか?
A:建築資材や人件費の高騰で新築価格が上がり、賃貸への需要がシフトしたことや、オーナー側の管理コスト増が家賃に転嫁され始めたためです。
Q:更新時に値上げを要求されたら拒否できますか?
A:正当な理由がない限り、借主は拒否する権利がありますが、近隣相場が著しく上がっている場合は合意せざるを得ないケースもあります。専門家への相談を推奨します。
Q:日銀の利上げは家賃に関係ありますか?
A:はい。利上げにより住宅ローンの金利が上がると、家を買うのを控えて賃貸にとどまる人が増えるため、需要が高まり家賃が上がりやすくなります。
