コクヨのランドセル生産終了は市場の陰り?「ラン活」変化の全貌

ランドセルを背負って笑顔の小学生の女の子3人が並んで歩く様子

ランドセル市場は少子化にもかかわらず拡大を続けてきたが、コクヨの生産終了で変化の兆しが見える。

2025年3月、コクヨはランドセル事業からの撤退を発表。

市場の縮小や消費者ニーズの多様化が背景にあるという。

本記事では、ランドセルの市場動向、「ラン活」の変化、そしてコクヨ撤退の理由を詳細に解説する。

point
  • ランドセル市場の現状: 市場規模や価格動向をデータで分析
  • コクヨ撤退の背景: なぜ大手メーカーが生産を終了したのか
  • ラン活の新トレンド: 背負いやすさや軽さに注目が集まる理由

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目次

1. ランドセル市場の最新動向

ランドセル市場は少子化にもかかわらず成長を続けてきたが、2024年でピークを迎えた可能性がある。以下に市場の現状をまとめる。

市場規模と価格上昇の背景

ニッセイ基礎研究所によると、2024年のランドセル市場規模は約552億円で、2014年の462億円から約2割増加した。

小学1年生の人口が109万人から93万人に減少した一方、平均価格は4.24万円から5.91万円へと約4割上昇。

祖父母による購入(54.4%)が背景にあり、「一生に一度の記念品」としての高額商品需要が市場を支えてきた。

  • ☑ 市場規模: 2024年は552億円、ピークは2022・23年の563億円少子化でも価格上昇により市場は拡大。
  • ☑ 平均価格: 5.91万円(2024年)、高価格帯(6.1~8万円)が人気。セイバンの調査で6.1~7万円が25.2%、7.1~8万円が21.5%。
  • ☑ 購入者: 祖父母が54.4%、両親を上回る。日本鞄協会の調査で、祖父母の購入が過半数。

市場縮小の兆し

2024年の市場規模はピークからやや後退。少子化の影響が価格上昇を上回り、ニッセイ基礎研究所は「今後は緩やかに縮小する」と予測。コクヨの撤退もこの流れを反映している。


2. コクヨのランドセル生産終了理由

コクヨは2025年3月末でランドセル生産を終了。文具大手の撤退は市場に衝撃を与えた。以下にその背景を詳しく見ていく。

消費者ニーズの多様化と競争激化

コクヨは1980年代からランドセル事業に参入し、大容量や低価格を強みにしていた。

しかし、市場では「軽さ」「高価格帯」がトレンドとなり、コクヨの主力製品(1キロ台前半、5~6万円)は埋没。セイバンの「天使のはね」など競合製品に押された形だ。

  • ☑ 重量化への対応不足: タブレットなど荷物の増加で「背負いやすさ」が重視される。コクヨ製品は1キロ台前半で標準的だが、軽量トレンドに遅れ。
  • ☑ 価格帯のミスマッチ: 高価格帯(7万円以上)が人気だが、コクヨは5~6万円。高額商品を求める祖父母層のニーズに対応できず。
  • ☑ 生産委託の限界: 自社工場を持たず、セイバンやハシモトに委託。独自性の発揮が難しく、ブランド力が低下。

市場環境の変化

コクヨは「重量化」「価格高騰」を撤退理由に挙げた。

ランドセル市場の先細りと、消費者ニーズの変化に対応しきれなかったことが大きい。

Xでは「ランドセルは供給過多」「リュックで十分」との声もあり、ランドセル自体の需要にも変化が見られる。


3. 「ラン活」の変化と新トレンド

「ラン活」(ランドセル選びの活動)は、購入時期や重視点が変化している。以下に最新動向をまとめる。

購入時期の前倒し

セイバンの調査によると、2026年春入学予定の保護者の38.6%が5月時点で購入済み。

未購入者の73.3%が8月末までに購入予定で、夏休みが第2のピークに。

祖父母と一緒に選ぶ家庭が増え、ゴールデンウィークや夏休みが活発な時期となっている。

  • ☑ ピーク時期: 5月と8月が購入の山場。帰省時に祖父母と選ぶケースが増加。
  • ☑ 早期化の背景: SNSや口コミで情報収集が進む。「ラン活」は2016年頃から活発化、早期購入が定着。

新しい重視点:背負い易さと軽さ

2025年のセイバン調査では、「耐久性」に次いで「背負いやすさ」「体感重量」が重視されるようになった。

タブレットや教科書の重量増加(平均3.9キロ、最大10キロ超)が背景にあり、軽量素材や布製ランドセル(最軽量830g)が注目されている。

  • ☑ 重量問題: 平均3.9キロ、63%が3キロ以上。「ランドセル症候群」(肩や腰の痛み)のリスクが指摘される。
  • ☑ 布製ランドセルの人気: フットマークの布製ランドセルは前年比1.5倍。軽さと快適さを求めるニーズに対応。

4. ランドセル市場の今後の展望

ランドセル市場は今後どうなるのか。縮小予測や新トレンドから展望を考える。

市場縮小と多様化

少子化が進む中、市場は2022・23年をピークに縮小傾向へ。ニッセイ基礎研究所は、平均価格の上昇が鈍化すれば市場はさらに縮小すると予測。


加えて、リュックや布製ランドセルなど代替品の需要が増加。Xでは「ランドセルは使いづらい」「2年でボロボロ」との声もあり、従来のランドセル文化に変化が見られる。

新素材とカスタマイズの台頭

布製ランドセルやオーダーメイドが人気を集める。セイバンやSOLO UNOなど、軽量素材や個性的なデザインを提供するブランドが注目されている。

2025年度のトレンドカラーでは、男児は黒(52.7%)が主流だが、女児は紫がトップに。


5. FAQ:ランドセルとラン活の疑問に答える

Q1: コクヨがランドセル生産を終了した理由は?

A: 市場の重量化・価格高騰への対応難と、ニーズの多様化が主因。

Q2: ラン活のピーク時期はいつ?

A: 5月と8月がピーク。祖父母と選ぶ家庭が増加。

Q3: ランドセルの適切な重さは?

A: 小学1~3年は2.5キロ程度が理想だが、平均3.9キロ。

Q4: 人気のランドセル価格帯は?

A: 6.1~8万円が主流。祖父母の購入が支える。

Q5: 今後のランドセル市場はどうなる?

A: 少子化で縮小傾向。軽量素材や代替品が注目される。


6. まとめ:ランドセル市場の転換点

コクヨのランドセル生産終了は、市場の縮小と消費者ニーズの変化を象徴している。

少子化にもかかわらず高価格帯が支持されてきたが、重量問題や代替品の登場で「ラン活」も変貌。軽さや個性を重視する新時代が到来している。

ランドセルは単なる学用品ではなく、子どもの成長を見守る文化だ。しかし、その重さや価格が負担となり、市場は転換点を迎えている。あなたは、ランドセルの未来をどう考えるか?

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