2025年3月27日、国際自然保護連合(IUCN)は最新版の絶滅危惧種レッドリストを公表し、ムツゴロウを新たに絶滅危惧種として指定しました。
ムツゴロウは日本の九州西部に生息する独特な生態を持つ水陸両生のハゼ科の魚で、今回の指定はその生息環境や個体数の急激な減少を反映したものです。
本記事では、ムツゴロウが絶滅危惧種に指定された背景、原因、そして今後求められる保護活動について詳しく解説します。
ムツゴロウとは

ムツゴロウは、九州西部の有明海や八代海に生息する水陸両生の魚です。
ハゼ科に分類され、えらと皮膚の両方で呼吸ができるという特徴を持っています。
この特徴は、ムツゴロウが湿地環境に適応して生きるための重要な要素となっています。
体長は約20センチメートルほどで、主に水辺の泥底に生息しています。
ムツゴロウは、地域の生態系において重要な役割を果たしており、特に湿地環境の健康を保つために必要不可欠な存在です。
ムツゴロウが絶滅危惧種に指定された背景

IUCNによると、ムツゴロウが絶滅危惧種に指定された主要な原因は、干拓、沿岸開発、乱獲などの人為的な影響です。
これらの影響により、ムツゴロウの生息地は急速に減少しており、個体数も大きく減少しました。
干拓による生息地の消失
干拓による土地開発は、ムツゴロウの生息地である湿地を減少させました。
特に有明海や八代海では、干拓が進み、ムツゴロウが生息できる環境がどんどん消失しています。
これにより、ムツゴロウの生存に必要な浅い水域や泥底の環境が失われ、個体数が減少する原因となっています。
沿岸開発と環境変化

沿岸開発もムツゴロウにとって大きな脅威です。港湾や道路、住宅地の建設などにより、湿地の自然な状態が変わり、生物多様性が損なわれています。
また、海水の流れが変わり、ムツゴロウの生活環境が悪化しました。
沿岸開発に伴う環境の変化は、ムツゴロウの生態系に深刻な影響を及ぼしています。
乱獲

さらに、ムツゴロウは食材や観賞用のペットとして乱獲されてきました。
特に1970年代から1980年代にかけて、ムツゴロウの漁獲量は急激に増加しました。
この乱獲がムツゴロウの個体数減少に拍車をかけ、現在ではその個体数は著しく減少しています。
ムツゴロウの絶滅危惧種指定に関するデータ
具体的な数値を見てみると、有明海と八代海におけるムツゴロウの年間漁獲量は、1964年には216トンに達していましたが、1988年にはわずか2トンにまで減少しました。
この激減は、ムツゴロウが生息する湿地環境が急速に失われたことを反映しており、現在でもその回復は見込まれていません。
また、IUCNはムツゴロウが生息する地域全体で絶滅リスクが高まっていると警告しており、日本だけでなく、台湾、中国、韓国、東南アジアの一部でもそのリスクは増大しています。
日本国内でのムツゴロウ保護の状況
日本の環境省は、ムツゴロウをすでに「絶滅危惧IB類(EN)」としてレッドリストに掲載しており、その絶滅リスクが高いことを強く認識しています。
この分類は、ムツゴロウが野生で絶滅する可能性が非常に高いことを示しており、保護活動の強化が求められています。ムツゴロウの保護活動は、生態系全体の保全にとっても非常に重要です。
ムツゴロウの保護活動の必要性

ムツゴロウを絶滅危惧種として保護するためには、複数の取り組みが必要です。
まず、ムツゴロウの生息地を保護し、干拓や開発の影響を最小限に抑えることが求められます。
さらに、ムツゴロウの個体数を増やすために、保護区の設置や繁殖プログラムが必要です。
また、乱獲を防ぐためには、地元の漁業関係者や観光業者との協力が不可欠です。
国際的な協力と保護活動の強化
ムツゴロウの保護活動は、日本国内だけでなく、分布地域全体での協力が重要です。
IUCNの絶滅危惧種指定は、国際的な関心を集め、他の国々と協力して保護活動を進めるための重要な契機となります。
例えば、中国や台湾では、ムツゴロウの生息地保護に向けた施策を強化する必要があります。
まとめ
- ムツゴロウはIUCNレッドリストに絶滅危惧種として新たに指定されました。
- 主な危険因子は干拓、沿岸開発、乱獲です。
- ムツゴロウの個体数は過去50年で急激に減少しています。
- 日本国内では、すでに「絶滅危惧IB類」としてレッドリストに掲載されています。
- ムツゴロウの保護活動は、生態系全体の健康を守るために不可欠です。
- 国際的な協力と地域社会の協力がムツゴロウの保護において重要です。
この記事では、ムツゴロウの絶滅危惧種指定について、その背景と保護活動の重要性を詳しく説明しました。
ムツゴロウの生息地が失われる中で、その未来を守るためにさまざまな取り組みが求められています。