政府がこどもホスピス普及へ本格支援、5自治体でモデル事業

1. 概要（何が起きたのか）

2025年11月30日、こども家庭庁が2025年度から「こどもホスピス」支援のモデル事業を全国5自治体で開始することを発表。現在、北海道、愛知県など具体的な自治体名は調整中ですが、官民連携によるネットワーク構築と実態調査を軸に、支援の効果・課題を検証します。

事業のゴールは「地域で子どもと家族を支える仕組み」の全国展開。入院中心の医療から、在宅・地域生活を支える包括的支援への転換を目指しています。

2. 発生の背景・原因

日本では年間約2,500人の子どもが小児がんと診断され、難病指定疾患の子どもは約20万人以上。長期入院や医療的ケアにより、遊びや学校、家族との時間が奪われています。

海外（イギリス40施設以上、ドイツ20施設以上）ではこどもホスピスが普及している一方、日本は民間6施設のみで、行政の支援制度がほぼ皆無。2023年に設立された「日本こどもホスピス協議会」が国に制度化を強く要望し続けた結果、ようやく2025年度予算でモデル事業が実現しました。

3. 関係者の動向・コメント

こども家庭庁は「子どもと家族が孤立せず、希望を持って過ごせる社会を」と事業の意義を強調。日本こどもホスピス協議会は「20年以上待っていた支援。モデル事業を成功させ、全国展開につなげたい」と歓迎。

大阪TSURUMIこどもホスピス（国内初）の運営責任者は「医療と生活の境界を埋める支援が必要。行政の関与で安定運営が可能になる」と期待を寄せています。

4. 現状の施設数と支援内容

【現在のこどもホスピス施設（2025年11月時点）】

• TSURUMIこどもホスピス（大阪・2016年開設）
• 横浜こどもホスピス～うみとそらの家～（2020年）
• 北海道こどもホスピス（2022年予定→開設済）
• 仙台、福岡、熊本（一部開設準備中）

特徴：遊び・学び・交流の場、きょうだい支援、レスパイトケア（家族の一時休息）、訪問支援など。終末期だけでなく「生きている間ずっと」支えるのがポイントです。

5. 政府・自治体の対応

2025年度予算概算要求にモデル事業費を計上。5自治体での実施を通じて、以下を検証：
・地域ニーズの実態
・官民連携の効果的な運営モデル
・財源（寄付＋公的支援）のあり方

将来的には「こどもホスピス支援法（仮）」制定も視野。厚労省とも連携し、医療的ケア児支援制度との接続も検討中です。

6. 専門家の見解や分析

小児緩和ケア専門医は「日本は『死ぬ場所』としてのホスピスは多いが、『生きる場所』が圧倒的に不足。こどもホスピスはQOL（生活の質）を劇的に向上させる」と評価。

「欧州では公的保険適用が一般的。日本もモデル事業の成果次第で、公費支援の道が開ける」と期待。一方で「施設偏重ではなく、在宅・訪問型支援の拡充が本質」と指摘する声もあります。

7. SNS・世間の反応

Xでは「#こどもホスピス」がトレンド入り。反応は概ね好意的：
・「やっと国が動いた！もっと早くしてほしかった」
・「難病児の家族です。本当に必要な支援です」
・「イギリスで体験したけど、日本にも絶対必要」
・「5自治体から全国へ、応援しています」

当事者家族からは「寄付頼みで不安定だった運営が、安定するかもしれない」と涙の声も。

8. 今後の見通し・影響

モデル事業の成果次第で、2027年度以降に全国展開の可能性。目標は「全都道府県に1カ所以上の支援拠点」。寄付依存から公的支援への移行が実現すれば、施設の持続可能性が劇的に向上します。

医療的ケア児コーディネーターの配置義務化（2024年施行）と合わせ、子どもと家族の「生きる支援」が日本でも当たり前の時代が近づいています。