M-1グランプリ2025決勝進出9組の特徴を徹底解説

M-1グランプリ2025決勝進出9組が発表

12月4日、M-1グランプリ2025の決勝戦に進出する9組のコンビが正式に発表されました。今年のファイナリストは「ドンデコルテ」「エバース」「ヨネダ2000」「豪快キャプテン」「ヤーレンズ」「真空ジェシカ」「めぞん」「ママタルト」「たくろう」という顔ぶれです。

このメンバーを見ると、劇場でしっかりとウケる説得力を持った実力派が集結していることがわかります。初出場は4組で、残りの5組は過去に決勝の舞台を経験しているベテラン勢です。特に「ヤーレンズ」は3年連続の決勝進出を果たし、「いいかげんに優勝しないと」と意気込みを語っています。

一方で、ミキやカベポスターといった有力候補が惜しくも決勝進出を逃し、お笑いファンの間では驚きの声も上がりました。厳しい戦いを勝ち抜いた9組だからこそ、12月21日の決勝戦への期待が高まっています。

注目の「苦労人」コンビたち

今年のファイナリストから浮かび上がる一つ目のキーワードは「苦労人」です。長年の下積みを経て、ようやく大舞台への切符を手にしたコンビが複数含まれています。

特に注目されるのが「たくろう」です。2016年に結成し、2018年にM-1で準決勝進出を果たしてニュースターとして期待を集めましたが、その後は思うようにチャンスをつかむことができませんでした。昨年の取材では、きむらバンドさんが「名前知ってもらったことで迷いが出たと思います」と率直な心情を語り、赤木裕さんも「漫才を何とか続けられる道を探したいです」と苦しい胸の内を明かしていました。

決勝進出者会見では、普段は険しい表情を見せることが多い赤木さんが笑顔を見せ、その喜びの大きさが伝わってきました。長年の苦労が報われた瞬間です。

また「ドンデコルテ」の渡辺銀次さんは40歳にして、相方である「カゲヤマ」益田康平さんの実家に居候しているという驚きの状況です。会見では「ようやく人の実家を出られる」と語り、会場を笑わせました。日々の来し方が風貌にもつながり、ただ者ではない独特のオーラを醸し出しています。こうした苦労人ならではの人生経験が、漫才に深みを与えているのかもしれません。

「ラジオ」で磨かれた実力派コンビ

二つ目のキーワードは「ラジオ」です。今年のファイナリストには、ラジオ番組でトーク力を鍛えてきたコンビが複数含まれています。

「ヤーレンズ」の楢原真樹さんは、ファイナリスト会見で「ラジオレギュラーが4本、そこで磨いたトークで頑張りたい」と自信をみなぎらせました。実際、バラエティー番組などの平場でも「成長著しい」というスタッフからの評価を多数得ており、ラジオでの経験が他の仕事にも活きていることが伺えます。

「豪快キャプテン」は、MBSラジオ「豪快キャプテンのヤングタウンNEXT」で頭角を現しました。特に山下ギャンブルゴリラさんのワードセンスは芸人仲間からも高く評価されており、ラジオという音声メディアでの活動が漫才のクオリティ向上に大きく貢献しています。

ラジオは視覚情報がないため、言葉だけで笑いを取る必要があります。この制約が逆に芸人のトーク力を鍛える絶好の場となっており、ラジオで活躍する芸人がM-1でも好成績を残す傾向が近年顕著になっています。

過去のM-1との比較と今年の特徴

M-1グランプリは2001年に始まり、これまで多くの伝説的な漫才師を輩出してきました。過去の大会と比較すると、今年の特徴が浮かび上がってきます。

近年のM-1では、若手の勢いあるコンビが注目される傾向がありましたが、今年は30代後半から40代の「苦労人」コンビが複数ファイナリストに名を連ねています。これは、お笑い界全体が多様性を増し、年齢や経歴に関わらず実力が評価される環境になってきたことを示しているのかもしれません。

また、ラジオ出身の芸人が活躍する流れは、テレビだけでなく多様なメディアで活動することの重要性を示唆しています。YouTubeやポッドキャストなど、芸人が活躍できる場が増えたことで、従来のテレビ中心のキャリアパスとは異なる道も開かれてきました。

過去3年の優勝者を振り返ると、いずれも独自のスタイルを確立したコンビでした。今年も各コンビが磨き上げてきた個性が、決勝の舞台でどのように評価されるかが注目されます。

ファイナリストたちの具体的なネタと魅力

決勝進出を決めた9組は、それぞれ独自の漫才スタイルを持っています。「真空ジェシカ」は川北茂澄さんの独特なツッコミと、ガクさんのボケが絶妙に絡み合う漫才で知られています。劇場での評判も高く、安定した実力を持つコンビです。

「ヨネダ2000」は桂三実さんと米田晃さんによるコンビで、古典的な漫才の要素を取り入れながらも現代的なセンスを加えたスタイルが特徴です。「エバース」は関西の劇場を中心に活動してきたコンビで、テンポの良い掛け合いが魅力です。

「ママタルト」は檜原洋平さんと大鶴肥満さんのコンビで、大鶴さんの体を張ったボケが印象的です。「めぞん」は初出場ながら、独特の世界観を持つ漫才で注目を集めています。

それぞれのコンビが劇場で培ってきた実力を、12月21日の大舞台でどのように発揮するのか、お笑いファンにとっては見逃せない瞬間となるでしょう。

各コンビの現在の活動状況

決勝進出を果たした芸人たちは、M-1以外にも様々な活動を展開しています。「ヤーレンズ」は前述のとおりラジオレギュラーを4本抱えており、トークバラエティーでも存在感を増しています。テレビ番組への出演機会も増えており、M-1優勝となれば一気にブレイクする可能性が高いコンビです。

「豪快キャプテン」もラジオでの活躍が目立ちますが、劇場公演も精力的に行っており、ライブでのネタ作りを大切にしています。「たくろう」は、決勝進出が決まるまで「漫才を続けられる道を探す」という状況でしたが、今回の決勝進出で状況が一変する可能性があります。

「ドンデコルテ」の渡辺さんは、相方の実家に居候という厳しい状況から、決勝進出により「人の実家を出られる」と語っており、この大会が彼らの人生を大きく変えるきっかけになるかもしれません。

各コンビとも、M-1を単なる大会としてではなく、自分たちのキャリアを大きく変える重要な舞台として捉えており、その本気度が伝わってきます。

SNSやファンの反応

ファイナリスト発表後、SNS上では様々な反応が見られました。「たくろう」の決勝進出には、長年応援してきたファンから喜びの声が多数寄せられています。「ようやく報われた」「涙が出た」といった感動的なコメントが目立ちました。

一方で、ミキやカベポスターといった有力候補が決勝進出を逃したことに対しては、驚きや残念がる声も上がっています。「今年こそはと思っていたのに」「来年に期待」といったコメントが見られました。

「ヤーレンズ」に対しては、3年連続の決勝進出ということで「今年こそ優勝してほしい」という期待の声が多く寄せられています。ラジオリスナーからは「ラジオで鍛えたトーク力を見せてほしい」といった応援メッセージも見られました。

「豪快キャプテン」については、ラジオファンを中心に「山下のワードセンスが炸裂するのを楽しみにしている」といった具体的な期待のコメントが目立ちます。全体として、今年のファイナリストは多様性に富んでおり、それぞれに熱心なファンがついていることがわかります。

決勝戦に向けた今後の展望

12月21日の決勝戦まで、各コンビはネタの最終調整に入ります。M-1の決勝は3分間という限られた時間の中で、審査員と観客を笑わせなければなりません。劇場での評判が良いコンビでも、この独特の緊張感の中で実力を発揮できるかが鍵となります。

「苦労人」コンビにとっては、長年の経験が武器になる一方で、「もう後がない」というプレッシャーもあるでしょう。「ラジオ」で実力を磨いてきたコンビは、トーク力を活かした漫才を披露できるかが注目されます。

初出場の4組は、決勝の舞台での緊張をどうコントロールするかが課題です。一方で、過去に決勝を経験しているコンビは、その経験を活かして落ち着いたパフォーマンスを見せることができるかもしれません。

審査員の好みや当日の会場の雰囲気によっても結果は大きく変わります。それぞれのコンビが持つ個性が、決勝の舞台でどのように評価されるのか、お笑いファンにとっては最も楽しみな瞬間です。優勝するのは「苦労人」なのか、「ラジオ」実力派なのか、それとも全く別の要素を持つコンビなのか、21日の結果が待ち遠しい限りです。